企業の人事担当者・卒業生に聞く/ゲーム

背景やキャラクター、UIデザインなど 重要なポジションに多くの多摩美出身者

株式会社コナミデジタルエンタテインメント

エンタテインメントコンテンツをモバイルゲームや家庭用ゲーム、アーケードゲーム、カードゲームなど多面的に展開し、IT技術やネットワークを活用した新しい遊びを提供する。前作の『ウイニングイレブン』含め全世界でシリーズ累計販売1億本を超える『eFootball』をはじめ、国内外の市場でグローバルに展開中。
https://www.konami.com/

2022年12月掲載


『ウイニングイレブン』の後継タイトル『eFootball™』のUIデザインを担当

西川 優希さん
西川 優希さん

2019年|情報デザイン卒

株式会社コナミデジタルエンタテインメント

ゲームをわかりやすく遊んでもらうための画面を設計・構成する「UIデザイン」のチームに所属し、『eFootball™』というサッカーゲームを担当しています。このゲームは元々『ウイニングイレブン』として親しまれてきたゲームで、毎年新作が発表されてきた継続タイトルです。チームを選んでもらうときのわかりやすさや、どのようなグラフィックにすれば見やすくなるかなどを日々考えながらデザインしています。
世界のユーザーがプレイしており、18言語に対応して制作しています。選手名など表記の長さが言語ごとに異なるので、UIデザインも一番長い表記に合わせて設計するようにしています。使用するアイコンなども、日本と海外では文化や慣習が異なるため、どのようなグラフィックであれば伝わるかを考えなければなりません。例えば、初心者モードということを視覚的に表すとき、日本であれば車の初心者マークを添えれば多くの人に理解してもらえるのですが、海外では通じません。国によっては使ってはいけないマークがあるなど、世界で発売されるタイトルだからこそのUIデザインが求められます。学生の頃とはデザインの質が変わってきたと実感しています。

『eFootball™』は、選手を育成する遊び方もあり、パスやドリブルなど選手の能力を細かく調整することができます。そうした複雑な操作や設定もUIデザインでわかりやすく解決しなければなりません。ユーザーが難しいと思わないように、使いやすく、スムーズに遊べるようなデザインをいつも考えていますが、デザインで苦労した画面が、何の違和感もなく遊んでもらえていたときは、「がんばってよかった!」と思いましたね。

多摩美で培った「デザインの説得力」は仕事をする上でも不可欠

高校生の頃からゲームが好きで、将来はゲームをつくる仕事に携わりたいと考えていました。それで多摩美に入ったのですが、実はあまり絵が得意ではなくて(笑)。ゲーム制作に生かせるスキルはないかと考えながら情報デザインコースで学ぶなかで、UIデザインに出会いました。

情報デザインコースはプレゼンなど人前で話す機会が多かったので、そこで培った説明力、コミュニケーション力も、今の仕事で生きていると感じています。ゲーム制作はさまざまな分野のクリエイターが関わっているので、専門が異なる人にもわかるように説明しないと、意図していない画面ができあがってしまう恐れがあります。学生時代から相手に理解してもらうための説明を意識してきたことが、社会にでても役立っていますね。

学生時代はいろんなことに触れてみることが大切だと思います。とくにデザイナーは流行を敏感に察知し、さまざまなデザインを意識して見る必要があると思います。私も日頃から観察眼を養うことを心がけています。


「ゲームをゼロからつくりたい」と入社前から新規開発の部署を志望

伊藤 優実さん
伊藤 優実さん

2018年|統合デザイン卒

株式会社コナミデジタルエンタテインメント

ゲームの新規開発の部署に所属し、現在は人気タイトルの新規のゲームアプリの制作に関わっています。ゼロからゲームを設計していく場合、一度チームに加わると3〜4年開発が続きます。私はおもにUIデザインを担当していますが、チームにはプロデューサー、ディレクター、プランナー、プログラマー、3Dデザイナー、イラストレーターなど多様なクリエイターが集まっています。

職種関係なく意見を交わしながらゲームをつくっていくプロセスは、いろんな領域に触れ、いろんな先生方と話をした統合デザイン学科での学びと似ていると思うことがあります。学生時代の私のポートフォリオは、プロダクトデザイン、CGデザイン、UIデザイン、ウェブ制作、イラストなどさまざまなジャンルの作品であふれ、それがこの仕事に就くうえで武器にもなりました。入社前からいろんなことにトライしたいという気持ちがあり、「ゲームをゼロからつくりたい」と志望しました。

統合デザイン学科で培われた柔軟な発想力を活かす

以前、3Dのフィールド上にタイムリミットの時間を表示するUIをデザインしたのですが、モチーフを腕時計にしたところ、そのアイデアを評価してもらえたことがありました。時間=時計という風に発想を広げていったのですが、例えば画面上にボタンをひとつ用意するのでも、どんな感触であればユーザーは触りがいがあるだろうかと考え、水のような触り心地ならどうか、建築で用いられるボタンではどうかなど、幅広く思考を巡らせます。そのような柔軟なアイデアの出し方は、統合デザイン学科で学んだからこそ身についた力だと思います。大学の4年間はどのように新しいアイデアを出すかを考え続けた時間だったので。自由な発想でゼロからデザインしたゲームがたくさんの人に遊んでもらえるのは、クリエイター冥利に尽きますね。

自分の価値観を、自分の言葉で表現する

学生のときから、そして仕事をするようになった今も、デザインをするうえで大切だと考えているのは、「かっこいいとは何か?」「かわいいとは何か?」ということを自分なりに定義して、自分の言葉で表せるようにすることです。例えば、UIデザインの場合では、ゲーム画面のボタンの配置や使用する色に対し、「なぜそうしたのか」、その理由をしっかりと伝えるようにしています。言葉でも伝えられることが必要だと感じています。