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樋口真嗣監督が特撮の歴史から技術まで幅広く語る特別講義「特撮の魂」を開催


特撮映画・アニメーションの第一人者である樋口真嗣監督(以下、「樋口監督」)を招いた特別講義「特撮の魂」を、12月4日(月)、八王子キャンパスレクチャーホールで開催しました。

ユーモアを交えて講義を行う樋口監督。会場には様々な専攻と学年から多くの学生が集まりました

樋口監督は、高校卒業後の1984年に「ゴジラ」の造形助手として映画界入りしたのち、1995年に特技監督を務めた「ガメラ 大怪獣空中決戦」で日本アカデミー賞特別賞を受賞。2005年「ローレライ」で映画監督デビュー後も、2006年「日本沈没」、2008年「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」、2012年「のぼうの城」、2015年「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」、2016年「シン・ゴジラ」、2022年「シン・ウルトラマン」など数々のヒット映画を世に送り出されたほか、「新世紀エヴァンゲリオン」「精霊の守り人(シーズン3)」に代表されるようにテレビやアニメでも幅広い活躍をされています。俳優ののんさんが監督・脚本・主演を務め、本学上野毛キャンパスにて撮影された2022年「Ribbon」では、特技監督を担当されました。2016年の「シン・ゴジラ」では、第40回日本アカデミー賞最優秀作品賞と最優秀監督賞を受賞され、名実ともに日本を代表する映画監督のおひとりです。

歴史や技術、そして映画シーンの解説まで― 特撮を広く、深く知る講義

今回の特別講義は、映画や特撮といった映像・エンターテインメント業界を志望する学生に向けて、樋口監督と親交の深いグラフィックデザイン学科 野村辰寿教授を中心に企画されました。特別講義では、まず日本における特撮作品の歴史を年表形式で紹介するところから始まり、特殊撮影が生まれた背景や特撮技術の時代ごとの発展、特撮映画の政治的・社会的な役割などが、多くの参考映像や資料とともに紹介されました。また、日本初の特撮怪獣映画「ゴジラ」の誕生から第一次怪獣ブーム・第二次怪獣ブームの到来から衰退に至った経緯、年代ごとの立役者や関係企業、さらには「STAR WARS」や「ターミネーター」といったアメリカ映画がもたらした特撮技術の発明や応用なども説明されたほか、特撮映画の1シーンをコマ送りしながらそこで使われている特撮技術を解説するなど、「特撮の魂」というタイトルとおりの濃厚な講義となりました。

学生からの質問タイム、そして樋口監督による講評会も実施

特別講義後半では、「質問千本ノック」と樋口監督が命名された、学生からの事前質問に答える時間が設けられました。「自分の好きなことを育て深める方法は?」「演者やスタッフに指示を出す際に心がけていることは?」等々、非常に多くの質問が樋口監督に寄せられ、すべての質問に対しユニークさと率直さを持って回答いただきました。また、希望者による公開講評会も同時に行われ、学生は自作のイラストや怪獣フィギュア、途中段階の卒業制作の作品などについて、樋口監督から個々に直接意見やアドバイスをいただく大変貴重な機会を得ました。最後に、樋口監督から多摩美の学生に対して「大学生活は純粋に自分の好きなことを追求できる尊い時間。学生のうちに、恵まれた環境をフルに活用して、好きな作品制作にとことん向き合って欲しい」と温かいメッセージを寄せられました。特別講義は急遽終了時間を大幅に延長して行われましたが、樋口監督のユーモアあふれるお話で終始会場の笑い声が絶えず、学内の様々な専攻・学年から参加した学生はみな、特撮映画の第一線で活躍する監督の話を熱心に聞き入っていました。参加した学生のひとりは、「樋口監督の作品は小さいころから見ていたので直接話を聞けて夢のような時間だった。いつか講義の続きを聞きたい」と語っていました。

また、特別講義後に行われた取材では、「多摩美の学生の質問は他大に比べると非常にビビッド。知りたいという意欲が感じられて答えがいがあった」と感想を述べられました。さらに、映画やエンターテインメント業界を志す学生に向けて「未来の予測は難しいが、どのような社会になっても重要なのは自我を持つこと。自分はどういう人間かということを掘り下げて追及し、自分らしさを確立することは社会人になっても役立つ」と、樋口監督のこれまでの経験を踏まえたアドバイスをいただきました。

講評会では、学生とのトークも盛り上がりました

講評会に参加した学生や野村先生(後列右から2番目)と記念撮影

 

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