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八王子市の長池公園内にプロダクトデザイン4年高橋慶一郎さんの作品が展示


高橋さんの作品「生き物の器」。ヘタのような部分は釉薬でコーティングして撥水性を確保し、底面は敢えて素焼きのままにして吸水性を持たせたことで適度な湿気を得られる。穴のサイズはシジュウカラが入れるサイズを目安にし、鳥以外の小さな動物なども入れるようにした。

プロダクトデザイン4年高橋慶一郎さんの陶作品「生き物の器」が、八王子市長池公園内のコミュニティ施設「自然館」で2022年2月から展示されています。この作品は3年次の授業「プロダクトデザインⅡ」(担当教員:濱田芳治 教授、尾形 達 講師)の課題の一環で取り組んだもので、課題リサーチの際に尋ねた長池公園の関係者から自然館で展示をする提案をうけて実現されました。

資源に着目しさまざまな動物が使える「すみか」を模索

既存のプロダクトを改良するという課題内容から、高橋さんは、犬小屋や鳥かごのように特定の動物名をつけることで使用が制限される「すみか」に対し資源的な側面から疑問を持ち、ある動物の専用ではなく、さまざまな動物が使える「すみか」を模索しました。宅地造成の際に廃棄される残土を使用した壺など、以前にも陶作品を制作した経験のある高橋さんは、環境負荷の少ない材料、資源の再利用、工業製品にはないハンドメイドの優しい造形などにこだわり、本作品を完成させました。

制作にあたり、こうした陶器を動物が好むかどうか、どのような動物が使ってくれるかなどを樹木医に相談し、その先生の紹介から長池公園との縁がつながり、本作品の材料となったウッドチップを提供してもらえることになりました。公園側とのやりとりを重ねるうちに、公園を運営管理するNPOフュージョン長池の田所喬さんから、高橋さんの取り組みを地域の人にも知ってもらえるよう自然館で展示をするのはどうかとの提案をいただき、2022年2月から展示が始まりました。

材料は活動をする中で知り合った陶芸家のかたから、試作後に廃棄する素焼きを提供してもらい粉状にしたものと、長池公園で剪定された木のウッドチップを粘土に混ぜている。それぞれの材料を混ぜる割合によって強度や色が変化するため、検証を重ねた。

地域の人からも応援

長池公園自然館は、市民や子どもたちが活用できる展示室、会議室やクラフトコーナーなどがあるコミュニティ施設で、過去には本学学生のグループ展なども行われています。地域づくりにも取り組むNPOフュージョン長池では人材を育成するということを大切にしており、今回の展示についても、田所さんは「がんばっている若い人が地域にいることを知ってもらうことで、地域の人にも応援してもらいたい」と話しました。高橋さんの作品を観た地域住民の方からは「素敵で、暖かさを感じた」という声があったとのこと。「作品を展示していると来場者から感想や質問を受けるなど、良いコミュニケーションが生まれています」(田所さん)

高橋さんは「田所さんなど外部の方と関わることで学校の中だけでは得られない経験ができ、関わりの中で新しいアイデアも生まれ、とても勉強になりました。今後、実際に動物が使えるかどうかを長池公園でテストさせていただくことができれば、そこで得られたフィードバックをもとに、さらに作品をブラッシュアップしていきたい」と今後の展望を語りました。

関連リンク

八王子市長池公園Webサイト別ウィンドウリンク
NPOフュージョン長池Webサイト別ウィンドウリンク
プロダクトデザイン専攻 紹介ページ 別ウィンドウリンク

写真中央が高橋さん。制作に協力してくれた人々との交流から、その後も次々と新しい出会いが生まれている。