10m絵画コンペで最優秀賞の油画3年生2名による共作『走る』が完成

2021年11月11日、「10m絵画コンペ」で最優秀賞を受賞した、上原咲歩さん(油画3年)と加藤優奈さん(同3年)による共作『走る』の完成披露と賞金30万円の授与式が、八王子キャンパスで行われました。

このコンペは同年4月、八王子市鑓水にマンションを建設予定のファーストエボリューション株式会社が、モデルルームのギャラリー通路壁面に絵画を展示したいと環境デザイン学科研究室に相談。検討の結果、日本画・油画専攻の3年生以上を条件とし、学内で作品を募ることになったものです。

8月、審査員長として小泉俊己教授(美術学部長・油画専攻)、審査員として古谷博子教授(学生部長・版画専攻)、橋本潤准教授(環境デザイン学科)、須藤憲綱氏(ファーストエボリューション株式会社代表取締役社長)、宮崎理沙氏(PRIME CHEF統括)が選考にあたり、作品イメージ原画のほか、制作意図やポートフォリオ等の審査を行いました。

最優秀賞受賞者となった上原さんと加藤さんにはベニア板12枚と制作費上限20万円が支給され、八王子キャンパス内の武道館にて10月より制作を開始。約1ヶ月をかけて、高さ1.8m、幅10.8mにおよぶ大作が完成しました。

作品は今後、2021年12月1日から2022年12月末までの約1年間、南大沢駅前イトーヨーカドー内の仮設モデルルームギャラリー通路壁面に展示されます。


向かって左から加藤さん、上原さん

受賞者の声

「大きな作品がつくりたい」と思っていたときにこのコンペを知ったのが応募のきっかけでした。でも1人で制作するのは不安だったので、上原さんを誘ったんです。2人で話し合ってその場のひらめきでどんどん描き足していった結果、こんなにたくさんの動物を描くことができました。上原さんが私の描いたものに毎回いいねと声をかけてくれたおかげで、安心して速く描くことができたように思います。こうして2人で一つの作品に取り組むのは初めてでしたが、責任を感じすぎることもなく、最初から最後まで楽しく制作できました(加藤さん)

「走る」というコンセプトの立案や構成、実際に走りながら背景を描いたのが私で、動物を描くのが加藤さん、と役割分担をしたので、スムーズに制作できました。今回の募集テーマが共存とか共生といったことを謳っていたので、いろいろな動物が一緒に走る様を描くことでそのテーマをとらえ、未来に向かっていく躍動感が表現できたのではと思います。学内の展示環境と違って、壁面に長く残せるという機会は私たち学生にとって貴重でした。長く見ていただけるものができあがって満足です(上原さん)

主催者・教員の声

須藤憲綱氏(ファーストエボリューション株式会社代表取締役社長)

もともとは「地域共生」の一環として何かできないかな、というのが始まりでした。南大沢に事業を展開していたので、地域に美術大学があるなら何か作品展示ができれば、という軽い感じでお声がけしたのですが、環境デザイン学科の先生から「それなら絵画の学生たちにコンペで作品を募ってはどうか」とご提案いただいた経緯です。結果選ばれたこの作品は、「Well-being」という私たちの事業テーマをわかりやすく体現してくれたと思っています。見る側にエネルギーを与えてくれること、多様性が表現されていることも評価しました。また、選考では展示する空間との調和も重視しました。目にするのはアートのプロではない一般の方なので、違和感なく、受け入れられやすい内容だと感じました。前回は筆入れのときに制作現場を視察して、今回完成品を見させていただいたわけですが、私の思いつきからここまでの形になった、ということに衝撃を受けました。地域の皆様がこういう生の絵画に触れる機会はあまりないと思うので、アートを身近に感じてくれたらいいなと思っています。

橋本潤准教授(環境デザイン学科)

今回選ばれた作品は、シニア向けの住宅展示場の壁面、ということを意識したいかにも落ち着いたという作風ではなく、全世代に向けた元気の出る感じが評価されたのだと思います。展示後は、きっと多くの子供達がこの作品を見て話題にしてくれるのではないでしょうか。ファーストエボリューションの皆さんとは、次年度以降もPBLなどを通じて、地域貢献で何か一緒にできることがあるのではと現在話し合っています。


コンペに応募したときの作品イメージ原画


作品イメージ原画の一部(拡大)


アクリル絵具に石膏を混ぜた石膏チョークという画材を手に持ち、走りながら描いていた上原さん


須藤氏から賞金を受け取る加藤さん、上原さん


向かって左から木嶋正吾教授(油画専攻)、須藤氏、加藤さん、上原さん、橋本准教授

2021年11月19日 16:59